離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
ー4ー
「今日の夕食、どうしようかな」

 一日の業務が終了した凛音は更衣室で制服のチェックのベストを脱ぎ、ロッカーのハンガーに掛ける。
 定時を過ぎて暫く経っていたが、更衣室にはたまたま誰も居ないので、つい独り言が出てしまう。

「今日は暁斗さん早いといいけど」

 暁斗と結婚して早1ヶ月。それなりに結婚生活には慣れて来たと思う。

 結婚初日、一切暁斗の邪魔にならないよう生活しようと思っていた凛音だったが、行動が相当怪しかったらしく、彼から存在感を消そうとされると逆にこっちが落ち着かないから普通にしていろと言われてしまった。

 結婚早々失敗したと思った凛音は家では気を使いつつも、自然に振舞うようにしている。
 食事もタイミングが合えば一緒に取る。そうは言っても暁斗は忙しく、一緒に夕食を取れる事なんてほとんどない。

 毎週火曜日に心臓血管外科の定期手術があり、患者の状況にもよるが、その後は当直で泊まり込むことも多い。
 他にも緊急オペが入ったり、外来診察があったり、医療機器メーカーと共同で行っている研究があったりする。

 優秀で仕事に関しては野心家なだけあって、かなりの仕事量になっているようだ。
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