離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 この人物は剣持暁斗(あきと)。九王総合病院の心臓血管外科医だ。

 32歳という年齢にも関わらずいくつもの専門医資格を保有し、最新機器を用いた心血管カテーテル手術も、難しい症例のバイパス手術もこなす非常に優秀な医師である。

 加えて都内に医院や介護施設など複数の施設を持つ医療法人の運営を行う剣持家の次男だ。
 もちろんここ九王総合病院もその医療法人が経営している施設の一つで、院長は医師である彼の父親だ。将来暁斗も後を継ぐか要職に就くとい思われている。

 外見も飛びぬけて優れていて、180cmを超える長身に程よく筋肉がついている逞しい体格をしている。自然にセットされた黒髪、彫りが深く端正な顔立ち。

 切れ長の目元は涼やかで、無駄に色気もあり、まさにハイスペックが白衣を着て歩いているような存在だ。
 昼の休憩時間が重なると、福原は暁斗をこうして食堂に連れ出すらしい。
 そして、凛音がいるときは必ず暁斗を呼んで同じテーブルに着くので、いつの間にか福原を通じて彼とも顔見知りの仲になってしまった。

 顔見知りと言っても挨拶以外で直接会話することは殆ど無いのだけれど。
< 7 / 170 >

この作品をシェア

pagetop