離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
「確かに旨いな」

 暁斗も同じものを口に運んで答える。

「……あ、すみません、ついはしゃいでしまって。私に合わせてパンばかりじゃなくて、お料理も食べて下さい」
「いや、構わない。君のはしゃぐ姿が……珍しくて驚いたが」
「パンの事だとつい熱くなっちゃうんです」

 凛音は夢中になって話すぎたのが恥ずかしくなる。少し落ち着こうとシチューを食べる。このシチューも濃厚で美味しい。
 暁斗は小さくカットされたシンプルなバゲットを口に運ぶ。

「君はパンを作れるのか?」
「そうですね。作り方はわかります。昔、父の手伝いをしてましたし。ただ、家にある電気オーブンだと庫内が小さめなので上手く焼けないかも」

 色々なパンを見ていたら、久しぶりに父のレシピでパンを焼きたいなという思いが凛音に生まれていた。
時間を見つけてやってみても良いだろうか。

「だったら、パンを焼くのに適したものを買えばいい。ガスオーブンが必要ならリフォームしてもいい」
「えっ、そこまでしてくれなくて大丈夫です!ていうか私、作って良いんですか?」
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