離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 食事を取り片づけが終わった後、凛音は先ほど途中になっていた洗濯物を再びたたみ始める。

 斜め向かいのソファーに座った暁斗はコーヒーを飲みながらニュース番組を見ていた。
 ニュースでも明日接近する可能性がある台風について報じている。

「君は明日出勤だろう?台風が来るのは夕方以降のようだから早めに帰って来た方がいい」
「はい。機械の業者さんの立ち合いだけなので、終わったらすぐに帰るようにしますね」
「念の為、そうした方がいいな」

 日曜である明日、病院で使用している自動精算システムの端末機器の一部更新作業が入っていた。
 一般外来の患者が居ない日曜日に行われるのだが、立ち合いの為に凛音も明日出勤する事になっていた。

「大丈夫だと思うが何かあったら連絡してくれ。明日俺は非番だから車で迎えに位行ける」
「ありがとうございます。でも、徒歩で10分くらい多少の雨は大丈夫ですよ」

 そんな会話をしていると、いつの間にかテレビ番組がニュースから動物番組に切り替わっていた。

「わぁ、かっわいい!」

 番組では犬好きのゲストが柴犬の子犬と戯れている。
 コロコロとした生後3ヶ月位の茶色い柴犬とマロ眉のある黒い柴犬がおぼつかない足取りで歩いたり躓いたりする姿を見て凛音は悶えてしまう。
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