離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 何か言いたげにしている暁斗と目を合わせないようにしながら無理やり明るく言うと、凛音は洗濯物を抱えて立ち上がり、急ぎ足でリビングを出た。


 翌朝はまだ晴れていて、これから天気が悪くなるような気配は感じられなかった。

「暁斗さん――大丈夫ですか?」
「あぁ、大したことは無いから寝ていれば治る」

 昨日のギクシャクした雰囲気をどうしたらいいかと思い悩みながら朝食の準備をしていた凛音だったが、起きて来た暁斗が頭を押さえて辛そうにしているのを見て、気まずさなんて一気に吹き飛んでしまった。

 慌てて彼にベッドに戻ってもらい、熱を測ってみたが平熱だったのでひとまずホッとする。

「今日お休みで良かったですね。オンコールでも無いし。一日ゆっくり寝ていて下さい」
「……バチが当たったのかもしれないな」

 暁斗は何やら小声で言ったのだが、はっきり聞こえない。

「暁斗さん?」
「……いや、そうする。ただの疲れと、もしかしたら台風が来ているから気圧のせいかも知れないな。さっき薬を飲んだから寝ていれば大丈夫だ。君は気にせずに病院に行ってくれ」

 受け答えはしっかりしているし、熱も無いので大丈夫そうではあるが、病人を一人で残していくのはとても心配だ。
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