離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
ー6ー
「アッキー、どう?新婚生活は」
先輩であり、上級医師でもある福原洋一郎に声を掛けられ暁斗はあからさまに顔を顰めた。
「やだなぁ、そんな面倒だって顔しなくても」
「実際、福原先生に話しかけられるのは面倒なんですよ。あとそのアッキーっていうの、いい加減やめてください」
「まぁ、いいじゃない。僕とアッキーの仲じゃないか」
暁斗は医局の端にあるテーブルと4つの椅子が並べられている簡易的な休憩コーナーで凛音が持たせてくれた弁当を食べていた所だった。
午前の診療が終わってすぐの時間帯の今、医局内には人影は無いのでひとりで手早く昼食を済まそうと思っていたところだのだが。
「いいなぁ、凛音ちゃんの手作り弁当。僕なんて今日はコンビニランチだよ」
暁斗の斜め前に座って福原はコンビニの袋からおにぎりを取り出す。
「やりませんよ」
同じおにぎりでも暁斗の分は凛音が心を込めて握ったものだ。
付け合わせのおかずも仕事の間に摘まみやすいように楊枝が刺してあったり、汁気を抜いてあるなど心配りがされている。
暁斗は特に彼女の作る玉子焼きが好きだ。出汁が効いていて、甘すぎないのがいい。
「えー、いいじゃん。僕は二人の縁結びの神なんだから」