クローバー
悠斗side


「悠斗君喉乾いてない?良かったら私のお水…」


「ちょっと抜け駆けしないでよ!!悠斗くん、私のお水をどうぞ!」


「みんなありがとう!」


ニコッと笑ってお礼を言えば、周りの女の子は頬を染めて僕を見る。端っこの方では男も鼻をおさて疼くまっている。


ごめんね、僕可愛いから。


そんな僕に落とせない女の子なんていないと思ってた。思ってたんだけど、まさか興味すら持ってもらえないとわねー。


それどころか逃げられる始末。もしかして、僕に魅力が無くなった?いやそれはない。今だって、あの子以外は全員僕に夢中なんだもん。


周りの子たちの話を右から左へ流しながら、借り物競争でムンクの叫びみたいになっているふーちゃんを眺める。クスッ、どうやったらあんな顔になるわけ。


あー、あー。早くふーちゃんも僕に夢中になんないかな。僕ばっか振り回されてつまんない。


だから意地悪しちゃった。体育祭の競技決めの時、ふーちゃんだけ競技が異常に多いことに気づいてたけどわざと大声で返事をしてふーちゃんが拒否できなようにしちゃった。


僕ばっか振り回されてるのは癪だしね。










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