クローバー


ふーちゃんが必死になってお題のものを探してる。ふふふ、困ってる困ってる。


困ってるふーちゃんの姿を見るのは嫌いじゃない。


ぐるっと回りを見渡したかと思うと、ある一点の方向で止まった。ん?こっちに来る?


だんだん近づいて来るふーちゃん。もしかして、お題の相手は自分なのではと期待が高まっていく。


どんなお題なんだろう。もしかして、好きな人とか?表には出さなくても彼女も自分に惹かれていたんだと勝手な妄想が膨らんでいく。


「…え」


しかし、ふーちゃんは僕に見向きもせずに僕の横を通り過ぎた。


「きゃー!!!!!誰?!あのイケメン!!」


いつもはかわいいと思う周りの女の子たりの声が、今は耳障りで仕方ない。誰…?と呟いた声は周りの声によって溶けていった。


その男はいったい君のなに?どうして、大切な人のお題にそいつが当てはまるの?それを突き止めたくて、ふーちゃんを探した。まさか、いつも眠そうな瑠衣君までついてくるとわ。


まぁー、僕が出る幕はなかったけど。僕なんかが突き止めなくても奏君と瑠衣君がすごい勢いで月夜という男睨んでいて声色がもう怖かった。


普通の人なら絶対怯えて声が出せないね。でも、そいつは怯えるどころか寧ろ余裕そうに笑った。女の子なら一発で落ちてしまうんじゃないかという程の色気を放って。


瑠衣君、奏君が気付いたかは分からないけど、僕は直感した。


こいつは......普通じゃない。


"こちら側"の人間だ。


あー、ふーちゃん君は…




< 101 / 117 >

この作品をシェア

pagetop