クローバー


どうして僕は今まで気付かなかったんだろう。今思えば疑問に思える点がいくつもあったじゃないか。


なのに僕は、君を普通の女の子だと無意識に思い込んでいた。そう、僕が惹かれるほどに。


こんなの初めてだ。


ふーちゃん君は演技がうまいんだね。


これでも僕は鼻がいい方なんだけど、君が醸し出しているその普通の女の子の雰囲気に騙されてしっまった。


普通の女の子そう聞くと簡単だと思うかもしれないが、案外それを演じるのが一番難しい。特に秘密を持っている人間は。演じようと思えば思う程人間ぼろが出る。


それなのに君はそれを感じさせるどころか、むしろ僕を欺いた。


この子は危険だ


これ以上近づいてはいけない


僕の直感がそう訴えるのと同時に、本能がこの子が欲しいと叫んでいる。


本当に初めてだ。こんな感情も、こんなに僕をぞくぞくさせる人間も。


厄介な子が家族になったもんだ。


君は一体何者なの?


演じていない君はどこにいるの?


本当に君は不思議な子だね。奏多たちにいじめられている文乃を悠斗はじっとながめていた。









< 102 / 117 >

この作品をシェア

pagetop