クローバー
体育祭「思わぬ敵編」
相変わらず晴れ晴れと綺麗な青が広がる空に
私は両腕を上に上げぐっと伸びをする。
午後は平和だったー。いや、違うな。午前中が色々とあり過ぎてそう感じるんだな。
あの後何とか奏多たちをなだめて、解放してもらったものの二人の勢いというか圧力がすごすぎてそれはもう怖かった。
『大体あんたは男に警戒心がなさ過ぎる!!』
いや、警戒するも何も月夜だし。
あいつをどう警戒すればいいの…。
助けを求めるように瑠衣を見るが、いつも仲が悪い癖にこういう時に限って瑠衣は奏多の味方のようで、賛同するように首を縦に振っている。
私に味方はいないのか。
『今度、男の前で油断したら2度と家から出さないから。いい?』
有無を言わせない奏多の迫力に首をコクコクと振るしかなかった。
それに、いつもうるさいくらい話しかけてくる悠斗さんが静かだった。なにか変なものでも食べたのか?
「いよいよ残すところ一種目となりました。」
その放送で我にかえり前を向く。真面目な眼鏡先生に化けている隆二さんが全校生徒の前に立ち全校鬼ごっこのルール説明をしていた。
「学年ごとにそれぞれ違う色のハチマキを付けてもらいます。1年は赤、2年は青、3年は緑です。1年は2年を、2年は3年を、3年は1年を追いかけて捕まった人はハチマキを渡してもらいます。ハチマキを一番多く奪えた学年の勝利です。」
うわっ、隆二さんの敬語ってなんか違和感。
そして、お前らちゃんと話聞けよ。あの人怒らせたら怖いんだから。