クローバー


「おいっ!聞いてんのか?!」


岡山が今度はフード男に思いっきり腕を振り下ろす。しかも、松坂の時とは違い掠るどころの距離じゃない。


あんのバカ!!


フード男を守ろうと突入しようとしたが…


「ぐはっ!!」


倒れたのは岡山だった。


黒いスキニーを履いたスラッと長い足がゆっくりと下に下ろされる。


「はぁー、これだから薬をやってる奴はめんどくさい。」


倒れた岡山のお腹をガンッと容赦なく蹴りつけるフード男。


「せっかく優しく言ってやったのによ!!」


「ぐほっ!」


「殺すだ?お前みたいな雑魚に俺がやれるとおもってんのか?」


ガンッ!


「ぐっ、ぐぼっ!」


「ふざけるのも大概にしやがれ。」


フード男が岡山の髪を掴み顔を思いっきり上に向かせる。岡山の顔は蹴られ過ぎて原形をとどめていない。


「ど、どうじで。おでは、お前達の仲間じゃないのか?」


「ふはっ!仲間?お前みたいなやつが?ありえない。お前はただの人形だよ。そうあの人の"人形"」


「そんな…」


岡山の目から狂気がなくなり、代わりに絶望の色が支配していく。


「なんかもうめんどくせぇな。こんな状態のお前が見つかってバラされても面倒だし、死ねよ。」


フード男が岡山が握っていたガラスの破片を奪う。


「大丈夫。寂しくないようすぐに松坂も送ってやるよ。」


ガラスの破片が一直線に岡山の首に向かっていく。


パシッ


「そこまでだ。」


ガラスの破片が首にあたる直前でフード男の腕を掴んだ。


隆二さんすいません。後でめいっぱい怒られます。これ以上は待てません。


フード男の顔面めがけて回し蹴りをかます。


「うおっ」


フード男は咄嗟に1歩後ろに飛び退き、私の蹴りを交わす。突然の事に男は上手く着地できずその場に尻もちを着いた。


私はその隙に岡山の安否を確認する。


「おい、大丈夫か?」


岡山の頬をぺちぺちと叩く。


「うー、」


そんだけ顔をしかめる事ができるなら大丈夫だな。


チラリと松坂の方を見ると、相変わらず頬を押え、痛い痛いと泣いていた。


うずくまっている松坂の頭をペシッと叩く。


頭に感じた痛みに松坂がやっと顔を上げた。


ありゃりゃ、涙で酷い顔。


体操服の裾でごしごしと涙をふいてやる。ハンカチなんて女子力のある物を私は持ち歩いてないもんで。


「ヒック、ヒック、なんで四宮さんが…」


私はその質問に答えずただ安心しろと言うよに笑う。


「ほら、頬のキズにはこれあててろ。無いよりはマシだろ。」


「これ…」


私が頭に巻いていたハチマキを渡す。汗臭いかもしれないけど我慢してくれ。


「ありがとう四宮さん。でも、僕自分の使うよ。」


そう言い、松坂は自分の頭からハチマキを取り頬に当て止血する。


おいっ!だったら最初からそうしろよ!!


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