クローバー



耳元で声が響く。フード男から出る独特なオーラが妙に気持ちが悪い。


「ああ、そうだな。これからお前を捕まえて、じっくりおしゃべりしないといけないからな。」


肩に乗っている腕を思いっきり捻り男の背中に回す。


「捕まえた。続きは署で聞かせてもらえる?」


しかし、男は私の足を払いそれを解く。
今度は私が飛びのき交わす番だ。


ちっ、器用な男。まぁ、そんな簡単に捕まってはくれないか。


「クククッ、やっぱりお前面白いな。全部は教えてやれねーけど、1つだけヒントをやるよ。確かにコイツらに薬を"運んで"いるのは俺だが、捌いているのは俺じゃない。」


「…何故それを私に教える」


「あー!それとこれはほんの豆知識なんだが、焼死って人間の死に方で最も苦しいって言われてるんだぜ。」


フード男は今まで私の方向に向けていた体を窓の方に向けて言う。


「は?」一体なんの話?てか、人の話聞けよ。


こいつ絶対モテないな。私の呆れた顔に気づかず、淡々と話し始める


「人間はそう簡単には焼けやしない。低温でじわじわと体が焼かれ、長時間熱さと苦しみに悶えるんだ。そればっかりか、火災で発生した有毒ガスの痛みにも耐えなきゃなんねー。それはもう想像を絶する痛みだとか。なぁ、それって…」



その時、夏が近づいていることを知らせてくれるようなカラっとした風が通り過ぎた。



目の間でふわりとフードが舞った。



風になびくブロンドの髪が綺麗だったことを覚えている。













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