クローバー
やってくれるっ
そこまでして2人を消そうと頑張られちゃ、こっちだってなんとしてでもこの2人を生かしたくなるもんだ。
タラリと背中に汗が伝う。
「…松坂。なんとしてでもこっから生きて帰るよ。そして、帰ったあとは覚悟しておいて」
「ヒック、え…。」
松坂に
そして自分に言い聞かせるように
「まだ、靴箱全体は燃えていない。あの端の方を駆け抜ければ外に出られるはず。できる?」
私の話を聞いた松坂はブンブンと顔を横に振る。
「む、無理だよ。あんなのっっ!火が近すぎる!!死んじゃうよ!!」
背中におぶっている岡山を片手でささえ、空いたもう片方の片手で松坂の顎をガシッと無理やり掴み私の顔の目の前で固定する。
「え、ちょ、近いよっ、四宮さん!」
泣き顔から一変して赤面する松坂に私はお構いなく話す。
「いいから私の目を見て。いい松坂?お前は絶対に死なない。」
「な、なんで、そう言いきれるの。」
松坂のおでこに自分のおでこをコツンとあて安心させるように言う
「そんなの私が付いてるからに決まってんじゃん。私が付いてる限りお前を死なせないよ。」
「四宮さんは強いからそんな事言えるんだ!!ヒックヒック、ボクは弱いから…。」
止まっていた松坂の涙がまた目から流れ出す。
「ヒック、僕は、ヒック、僕は、死ぬのが怖くて怖くてたまらない。僕は弱いから四宮さんみたいに前には進めない、強くはなれない。泣くことしか出来ないんだ。」
えー、私今いい感じの事言ったよね。
私の優しさは相変わらず松坂にはスルーである。
とうとうしゃがんで泣きしゃくってしまった松座に私は一旦岡山をおき、私もしゃがんで松坂に目線を合わせる
私はため息まじりに「ほんとうにそう思う?」と訪ねた。
ビクリと松坂の肩が揺れる。
「私だって、前に進めなくなることだってあるし、怖くて怖気ずく事もあるよ。私ね、松坂は決して弱くはないと思う。」
その言葉に、松坂は疑うような眼差しで私を見る。
「クスッ、ほんとだよ。だって、松坂は必死に岡山を守ったじゃない。」
「守った?どこが?僕は岡山君が殺されそうになるのを見ているだけしか出来なかった。」
「うん。確かにそうだね。でもね、松坂は岡山がフード男を殺そうとした時自分の身を使って止めたんだよ。臆病な松坂が頬に傷を作ってまで。それって、凄い事だと思わない?」
「それは僕じゃなくても誰でも止めてるよ…」