クローバー
「………走れ!!!!」
松坂を先頭に一斉に走り出す。
炎が近づくに連れて嫌な熱さが迫ってってくる。額から汗が流れ出る。
「はぁっ、はぁっ、ぐ、ぐるじいよ…」
「あんまり煙を吸いすぎるなっ、頑張れ松坂!」
あと少し…
あと少しで出られる
ずり落ちそうな背中の岡山を背負いなおしたときだった。
「…?!?!まつざかッッッッ!!!危ない!!!!」
ドン!!!!!!!
「え…」
その瞬間天井のがれきが落ちる凄まじい音と同時に、真っ赤な炎が私達の逃げ道をふさいだ。
「こんのッ…、おんぼろ校舎!!!」
これで一階の逃げ道は塞がれた。最悪だ。
「四宮さん!な、な、何が起こって?!?!」
瓦礫の向こうから声がする。
「あ、よっかた!松坂は無事だね。」
「四宮さんが僕の背中を押してくれたおかげで僕は無事だけど…、でも…四宮さんたちが…」
「大丈夫、まだ方法はある。松坂はそのまま走って逃げろ」
「そ、そんなことできないよ!!!ぼ、僕一人でなんて」
瓦礫に挟まれて松坂の表情は見えないが、きっとまた泣いてるんだろうな。
「松坂、また泣いてるでしょ。このままだと松坂のあだ名泣き虫にするよ。」
「な、泣いてない!!!」
ふっ、鼻をすする音で丸わかりだ。
「松坂、走る前私と約束したよね。何があっても外に出るまでは絶対に止まらないって。だから走って。」
「……ッッッ、絶対、絶対、外でまた会おう。約束破ったら四宮さんのあだ名嘘つきにするから。」
「上等ッ。行け!!松坂!!」