クローバー
もう誰も、俺自身を見てくれなんかしない。そう思ってた時、俺はあいつに出会った。
"火蓮"総長 東雲流星《しののめ りゅうせい》
今思い出しても笑える。
あれはしつこかったなー。
あいつは初対面の俺に向かって
「お前!俺の次にイケメンだな!火蓮に入れてやるよ!」
上から目線でそういいやがった。
最初は、笑顔で交わしていたが毎日毎日飽きることなくしつこく誘って来るもんだから、俺もいい加減鬱陶しくなって
「お前いい加減しつけぇんだよ。てか、入れてやるってなんだよ。人にものを頼む時は入って下さいだろ?そんなんもわかんねぇのか?小学生からやり直してこい。」
つい、素を出して言ってしまった。あんまりにもしつこいから。やっちまったなー。こいつもどうせ、演じた俺を欲しがってたんだ、これで寄って来ないだろう。
でも、奴は諦めないどころか次の日当たり前のように俺の所へやって来た。
「よう!奏多!俺の仲間になれ!」
「お前、昨日の俺の話聞いてなかったのか?」
「お前俺をバカにしてんのか?聞いてたに決まってるだろ!」
「しゃあ、何で…。」
「何でって、お前を仲間にしたいから。」
「そうじゃなくて!!!昨日の俺を見て何で仲間にしたいって思えるんだよ?!」
東雲はガシガシと頭をかきながら、どうって事ないかのように答える。
「何でって言われてもなー。お前に惹かれちまったんもんは、惹かれちまったんだからしょうがない。それに、昨日のはお前の本音だろ?仲間の本音を受け止めるのも俺の立派な仕事だ。俺は作り笑い浮かべてるお前より、昨日のお前の方が好きだぞ!」
にーと笑顔を浮かべる東雲。
認めたくない、認めたくないが…完敗だ。
俺の負けだよ。
「うん?待てよ?今俺かっこいい事言わなかったか?今言ったよな!やっぱ俺ってかっこいいー!」
最後ので台無しだけど…
何でこんな奴に俺負けたと思ったんだろ…
こいつが総長の族だろ?ホントに大丈夫か?
少し不安を抱えつつ、心はとっても満たさせれていた。