クローバー
文の過去side
奏多。貴方の壊れそうな笑顔がどうしてもあの子に見えてならなくて、怖かった…
『文ー!見て見てー!虹よ! 綺麗ね!』
キャッキャっと子供のようにはしゃいでは、私にニコニコと笑いかける。
『はいはい。お前が静かならもっと綺麗なんだけどな。』
『なっ!酷い文!もう隣でなんて見てやんない!』
『ククッ。ごめん。冗談だって!』
『ふんっ!』
『機嫌直せって。な?』
下から、上目遣いで許しをねだる。
こいつは、これに弱いからなー。
『…っ。文はずるい!そうやってすれば私が許してくれると思ってるんでしょ!』
『許してくれないのか?』
『うっ。許す!許すに決まってる!!』
ほら落ちた。
『単純。』
『聞こえてるわよ!文なんてほっといて先いってやる!』
ダダダダダダー!と走りだす。捕まえられるもんなら捕まえてみなさい!そんな言葉を大声で言っているあたり、お前は小学生なのか。
ホント飽きないな。
『そんなに走ったら転ぶぞ!
――――――"椿"』