クローバー

ボスのイタズラ

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目の前には、自分の身長よりも遥かにでかい両開きの扉。


威圧感のあるその扉の前で黒いスーツから覗く、白いネクタイをキュッと結び直す。


コンコン


「失礼します」


「文!よく来たね!!!」


この組織内で、私の事を唯一名前で呼ぶその人。


「顔を合わせるのは、お久しぶりですね
"ボス"」


40代には到底見えないような、爽やかな笑を浮かべ、私との再会を喜んでいるボス


「ホントに久しぶりだね文。君がもっと早く僕に会いに来てくれたら、こんなに久しぶりの再会にならなかったのに!!!僕寂しかったんだからね!!!ぶー。ぶー。」


唇を尖らせて、拗ねた顔をする40代の男。
はっきりいって、可愛くもなんともない。寧ろ痛々しい…


「ぶーって、あんたは豚ですか。だいたいねー、貴方が仕事をサボるからそのツケが私に回ってきて、私の仕事が増えてるんですよ!!!!会いに来て欲しかったら、仕事しろや……バカボス。」


ひぇっ、みるみるうちに顔を青くし、小さくなっていくボス。


「……ご、ごほんっ!それで、岡山の件についての報告は?」


逃げやがった…


「ボスが睨んでいた通り、学校内で取り引きされていました。これが、学校内で見つかった薬です。現在、本部に分析して貰っている途中ですが、恐らく黒だと思います。次の取引時に、現行犯で密売人及び岡山、松坂を捕まえます。それと…」



「それと…。なんだ?」


ニヤニヤした顔で、聞いてくるオッサン。
顔がとてつもなく気持ち悪い。


この人絶対気づいてる。


「何故、あそこに2番隊の頭である隆二さんがいたんですか?」


「サプラーイズ!!驚いた?ねぇ、驚いた?」


ちっ。うっっっっざ!!!


「ちょっと今回の仕事は厄介な事になりそうでね。隆二なら、文の事よく知ってるし丁度いいかなって。」



「ならめんどくさい事せず初めから言って下さい。貴方のせいで私、こわ…」


「こわ?なに?」


危っっない。怖い思いしたとか言ったらまた、めんどくさい事になるとこだった!!












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