クローバー



「と、とにかく!もう、あんな事はやめてください。」


「はい、はーい。」


絶対分かってないなこの人。ボスの気の抜けた返事に思わずため息が出そうなるのをグッと耐える。


眉間に皺を寄せながら、ボスの言葉を思い出す。私の嫌な予感が当たらない事を願いたい。


「厄介 とはどういう意味ですか?」


ボスは1度目を瞑り、再び開いた瞳には今までのおチャラけた雰囲気はどこにもなく、この組織を率いる男の目をしていた。


「その答えをまだ君に教える事は出来ない。でもね、文…これだけは忘れるな。探し物は以外と近くにあるものだよ。」


「それって…」


コンコン


「失礼します。」


銀色の髪を揺らし、中性的な綺麗な顔立ちをしている。"まさに美少年"その言葉がピッタリであろう同い年くらいの男が入ってきた事によって私の言葉は遮られた。


その男は私に気づくなり、目をキラキラと光らせ人懐っこい笑みを浮かべる。


「会いたかったですっっ!クロさん!」


私の肩に頭を乗せ、離れんばかりにギュウギュウとしがみついてくる。


それに答えるように私も男の背中に腕を回し、力を込める。


大丈夫。私はちゃんとここにいる。そう教えるように背中を優しくさする。


「クロさんっ。クロさんっ。」


「なーに?"月夜"《つきや》」







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