クローバー
「俺、ずっとずっとクロさんを待ってたんだよ。」
「うん。」
「なのにクロさん全然来てくれないし…」
「うん。」
「挙句の果てには、下の奴らまでクロさんクロさんって恋しそうに名前呼ぶし…」
「うん。」
「俺の背中を預けられるのはクロさんだけ。クロさんが背中を預けられるのも俺だけ。違う?」
「うんうん。違わない。お前だけだよ。月夜。」
月夜は満足そうに笑を浮かべ、頬擦りをしてくる。月夜は、久しぶりに会うと不安になるのか私の気持ちが変わってないか確かめてくる。
「当たり前でしょ。その場所が変わってたら許さない。」
「ふふ。それはこっちのセリフだよ。」
そう…。私達がこの場所を譲る事なんてありえない。いや、出来る訳がない。
パンパン
私達2人の再会の雰囲気はボスの手を叩く音によって終わった。
「はーい。イチャイチャするのはそこまで!!!」
「えー。まだいいじゃん!せっかくのクロさんとの再会なのにー。」
唇を尖らせ拗ねる月夜。顔が中性的なせいか妙に可愛らしい。
さっきのボスと同じ顔なのに、こんなにも違うものなんだなー。
「えー、じゃない!俺の前で文とイチャイチャしやがって。羨ましい!!!あっ、じゃなくて仕事しなさい!」
ボス…。本音ダダ漏れだな、おい。
「その言葉そのままボスに返すよ。それにクロさんとイチャイチャ出来るのは俺の特権なんでね!」
いつの間にか扉の目の前へと移動していた月夜。扉を開けながら。
「クロさん!今度は俺の家に遊び来てね!たまには構ってくれないと、俺何するか分からないから。」
可愛い笑顔で恐ろしい事を言い残し出て行った。あれは、悪魔だな。