クローバー

戦いのゴング

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あの後、久しぶりに部下達に稽古をつけて帰った。


あいつら、私が暫く組織に顔出さなかったから体が訛ってたなー。


近いうちに、また稽古つけてやるか。たるんだ根性叩き治してやる。徹底的にな。


「ふー…。ふーちゃ…。ふーちゃん!!」


「っ!!なに?」


悠斗さんの声で、ハッとする。


そうだ今、教室だった。


「なんか、悪い顔してたよ?何考えてたの?」


その一言にドキッとする。危ない、危ない、顔に出てたんだ。


てか、この人もよく見てるなー。


「べ、別に。今日のお昼は何食べよっかなって…。」


「ふーん。ふーちゃんは食いしん坊なんだね!」


「アハハ…。そうかもー。」


「ところでさ、ふーちゃんはあんなにいっぱい競技に出て大丈夫なの?」


いっぱい?競技?


悠斗さんの言葉が理解できず、首を傾げる。


「ほら、あんなにいっぱい名前が乗ってるよ。ふーちゃんは運動が好きなんだね!」


悠斗さんの視線の先には、黒板にでっかく体育祭の種目決めと書いてあり、数十個ある競技名の横に、私の名前が5個も書かれてある。


えっ…。何この数。流石に多すぎない?


他の生徒よりも、明らかに多い私の名前。


そして気づいた、クラスの女子生徒がニヤニヤしながらこちらを見ていた事に。


はぁー!!!!やられた!!!
聞いていなかった私にも非があるが、高校生にもなってこんな幼稚ないじめをするなんて、怒りもあるが、若干引き気味である。


「では、この案でいいですね?」


教卓に立ち、委員長っぽい女子がクラスに尋ねる。


よろしくありませんが?!


え?どう見てもダメでしょ!!!


「はっ…」


私が反論しようと声を出した時。


前のお喋り野郎が遮りやがった。


「ないでーす!」


そいつは、にーっと可愛い笑顔を私に向けてくる。


その笑顔が今は憎たらしくて、しょうがない。


口の端がピクピクしている。私の顔は今、とてつもなく歪んでいる思う。


競技に出るのは別に、今までの仕事に比べたらなんてことない。


しかし、ここに潜入している以上あんまり目立つ訳にはいかない。


はぁー。あんまり、力を発揮しないようにしないとな。できるかな?


不安でしかない競技決めであった。












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