クローバー
「ねぇ、文乃はなんの競技に出るの?」
ハンバーグを頬張りながら、奏多が尋ねてくる。
あの日から3人での食事が当たり前になってきている。
瑠衣はその状況に不服そうにしながらも箸を動かす手は止まらず、リスみたいになっている。
奏多は、瑠衣の不服そうな顔を見てどこか満足そうな顔にをしている。
やっぱり兄弟にしか分からない何かがあるのかな?
「私は、借り物競争と、クラス対抗リレーと、100メートル走と、玉入れと、全校鬼ごっこに出る。」
今日の教室での事を思い出し、自然と声が低くなる。
「え?多くない?」
瑠衣も目をパチパチされている。
あんたらの弟のせいだけどね!!
「別に…。奏多は?」
「俺はねー、100メートル走と、全校鬼ごっこだけだよ。瑠衣は?」
「俺は…、全校鬼ごっこだけ。」
「え?だけ?」
余りの少なさに思わず聞き返す。
「うん。 俺が教室に居ない間にもうみんな決めてて、最後の全校強制で出る競技しか残ってなかった。」
え?何それ。羨ましい。
てか、ホームルームくらい出なさいよ。
「ふーん。瑠衣らしいね。まぁ、2人とも精々頑張ってよ。文乃は運度神経悪そうだから転けたら慰めてあげてもいいよ。」
フッと馬鹿にしたような笑みでこちらを見てくる奏多。
カッチーン
「奏多こそ、転けないよう気をつけて。学校の王子様が転けたらかっこ悪いから。」
「ありえないね。俺が転けるなんて。」
「分かんないじゃん!」
「ふーん。じゃあ、賭けようか。転ける転けないで賭けたら俺が圧倒的に勝っちゃうから…」
その何処から出てくるのか分からない余裕に腹が立つ。
押さえろ私。
一般人は殴ってはいけません。
あれ?先生?とか思いながら、深呼吸。