クローバー


そんな奏多を無視して、私は奏多に問う。


「ほんとに、ほんとにそれでいいの?奏多にとって仲間ってそんなに簡単に諦められる存在なの?」


もっと粘れ


「んなの、諦める切れる訳が無いっっ。でもっっ!!どうにもならないんだよ…。
やっぱり、こんな俺じゃ…。」


もっと踏ん張れ


「甘ったれんな。今の奏多は嫌われる事を恐れて逃げてるだけ。」


もっと本気になれ


「っっ!」


「どうにもならない?奏多は本当にそう思えるとこまで、仲間と向き合ったの?違うでしょ。奏多はただ嫌われるのが怖くて逃げてるだけ。守りたい居場所なら、仲間なら、嫌われる事を恐れず向き合え。一歩踏み出せ。」


まだお前は間に合うから


私は奏多の目をじっとみる。
そしてもう一度…


「奏多、一歩踏み出せ。」


さぁ、奏多はどうする?

しばらくの沈黙の後、奏多は強く強く私の目を見た


「俺は、またあいつらの傍で笑いたい」


「うん。」


「守りたい。だから…」


奏多の目には先程の弱さわない。


「逃げない。」


ふっ。上出来だ。


「それに、俺に怖い物なんてないしね。」


いつものように色気たっぷりに、余裕そうな顔をする奏多。


さっきの泣きそうな顔、写真撮っておけば良かった。ちっ、しくったな。


そんな事はさておき。



「じゃあ、行こっか。」



「……は?」






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