クローバー

「文乃ちゃんだよね？夏美から話は聞いて
いたけど、想像よりも可愛い子で驚いた
な。こんな可愛い子の父親に慣れて嬉し
いよ。」


髪をオールバックにし、黒いスーツを纏ったガタイのいい男性。"ヤ" から始まるあの職業ですか？と是非とも聞いてみたい。


孝さんをボーっと見ていると、ソファの方から声が聞こえ、そちらに顔を向ける。


黒髪の長身の男が胡散臭い笑を浮かべて自己紹介を始めた。


「初めまして。これから君のお兄ちゃんになる如月奏多《きさらぎ かなた》です。よろしくね。ほら、お前らも自己紹介しろ」


隣の男はちっと舌打ちをし、こちらを睨みながらめんどくさそうに口を開いく。


「慶だ。女、お前俺に近づくなよ？お前と
なれあう気はない。」


そのデカい態度にイラッとするが、関わりたくないのは私も同じ。こっちからしたら好都合だ。むしろそのセリフをそのまま返してやりたい。


次に、態度デカ男の隣に座っている、ていうか半分寝ている？男が聞こえるか聞こえないかのボリュームで名前を言った。


「.......瑠衣」


うん。もう寝たら？


人間って寝ながら会話できるんだーっと、呆れを通り越して関心していたら、瑠衣さんの隣に座っていた1番小柄な男が立ち上がって、もーっと言いながら自己紹介をした2人の頭をバシバシ叩きはじめ、ギョッとした。


「瑠衣くんも慶ちゃんも、自己紹介くらいいしっかりしてよ。こんな可愛い妹に失礼だよ！！！」