クローバー
奏多の腕を掴み、お構い無しにズンズン前に進み、家の車庫まで行く。
「え?は?行くってどこに?!てか、このバイクなに?!」
「決まってんじゃん、火蓮倉庫だよ。それと、これは私の。」
「は?何で火蓮って?てか、なんでバイクなんて持ってんの?!」
「もう、何で、何でうるさいなー。」
情報量の多さに着いていけず、あたふたしている奏多。なかなか見れない光景に、動画を撮りたいところだが、時間がないのでズボッと勢いよくヘルメットを被せる。
「いやいや、これが普通だから!!もう、突っ込むことが多すぎる!!」
「突っ込まなくていいから早く乗って。あ、乗れないなら抱っこしよか?」
「いや、乗れるし。バカにすんな。」
じゃあ、早く乗れよ!
奏多が後ろに乗り、腰に腕が回ったのを確認する。
「あんた細くない?」
ぶにぶにと私の腰を触ってくる。くすぐったいのと、肉をつままれて恥ずかしいのでまじでやめて欲しい
「それに、いい匂い。」
私の髪に鼻を付けてかぐ奏多。
なんか…
「欲情しそう」
耳元でそれはそれは甘く呟いた。
顔に一気に熱が集まる。
「この変態!!」
「あれ?照れてる?文乃も可愛いとこあるだね。それと、俺は変態じゃない。文乃が可愛いのが悪い。」
可愛いって…。それを変態と言うんじゃないか?
そんなにくっつかなくても、と言うくらい奏多が私を強く強く抱きしている。なんなら、顔も私の頭に埋めて、まじで隙間0センチ。
もうどうにもならならと諦め、バイクを走らせた。