クローバー
あ、そんな事はさておき、
仕事で覚えたなんて言えるはずもなく、ただニッとわらって、奏多の腕を掴み倉庫に進む
グイッ
しかし、それを許してくれる奏多では無い。進もうと、前を向いた瞬間後ろから掴んでいた手を引かれ、後ろへと逆戻り。
「うわっ!」
思わず声が出た。色気もくそもない声。
さっきの私が嘘のようである。
背中には硬い胸。
前には見た目に反する以外にも、たくましい腕が交差する。
逃げられない…
そして仕返しと言わんばかりに私の耳に顔を近づけ、ふー、と息を吐く。
その仕草に、体がゾクゾクする。
「お誘いには答えないとね」
色気たっぷりの声。女性なら誰でもイチコロだろう。
「ん?!誘ってない!!誘ってない!!」
そんな私の声を聞こえてるのか、聞こえてないのか、奏多はニヤッと笑い上から覆い被さるように私の顔に近づいてくる。
ヤバいっ!このままだとっっ
焦る私、余裕な奏多。
私は必死に顔を下に向けようとする。しかし、顎に添えられた奏多の指がそれを許さない。体を捻って逃げようとしても、所詮私は女。男の力にはかなわない。
むしろ、逃げようと力をこめるほど、私を抱きしめる力が強くなる。
まるで、絶対に逃がさない。そう言っているよう。
もう、そこまで迫ってきている綺麗な顔に
どうする事も出来ず、ただ、ただ、目をぎゅっと閉じる事しか出来ない。
チュッ
リップ音が響く。唇には奏多の手。
ゆっくりと目を開ける。
近距離で奏多の大きな綺麗な瞳と目が合う。つり目の瞳がゆっくりと、三日月になっていく。
何故だろう。奏多からでる独特な雰囲気のせいか、その溢れんばかりの色気のせいか、その笑った瞳から目が離せないい。
心臓がドクドクとうるさい。
さっきの私のように耳元で甘く呟く。
「次はこの"手"つけないから。」