クローバー
「奏多、ここ大丈夫?」
奏多は「大丈夫。こいつらバカだからいつもの事。」と慣れたように言う。
マジで?いつもこれって…。
ちょっと心配になってきた。
「あれ?奏多さん?どうして…」
私達の会話で、彼らは奏多の存在に気づいた。さっきとは違う、ざわめきが起きる。
「ちょっと、ここにいる道場破りに無理やり連れてこられて」
私の頭をポンポンたたく。嫌味かコノヤロウ。
「俺達もう、奏多さんは戻って来ないんじゃないかって心配してて…、その方は?」
奏多から私に視線が移る。それもいい視線では無い。当たり前か。
総長が連れてきたお姫様にパワハラされてんだもんな。倉庫に新しい女なんて嫌なはずだわ。
彼らのために、丁寧に挨拶しなきゃな。敬語を使って丁寧かつ、あと端的にわかりやすく。なるべく、優しく優しく微笑む。
「初めまして四宮 文乃です。火蓮をぶっ壊しに来ました。」
「…………」
あれ?誰からも反応がない?
それどころか、絶句している。
「お前なんなんだよ?!」
「女1人に火蓮が壊せるかよ!!」
「出ていけー!!!」
おお、丁寧に挨拶したのにダメだったかー
非難の嵐。
後ろからも、声がする。
「何する気?」
心配そうな目でこちらを見てくる奏多
「大丈夫。悪いようにはしないから。」
イタズラっ子のようにニヤッと笑う