クローバー
魔女は魔女らしく、悪じえを働かせてお姫様を奈落の底へと落とそうか
私はパーカのポケットに入っている、ボイスレコーダーをとりだす。
「佐々木、これなーんだ?」
佐々木の目が私の手の中の物を捉える。
「なに…それ?」
私はニヤリと笑う。
倉庫に響き渡る聞き覚えのある猫なで声と低い男の声。
佐々木の顔がみるみる内に青くなっていく
「りか、火蓮の姫はどうだ?」
「ふふふ。上手くいってるよ。流星なんてちょっと媚び売ったらすぐ私に堕ちてくれたし、下っ端の奴らも総長の彼女の私に何も言えないの。」
「そうか、案外火蓮もバカな奴らの集まりなんだな。」
「だねー。あ、でも、奏多って奴は私の事怪しんでて、姫にする事反対したの。だから、流星に頼んで追い出してもらった。」
「流石俺のりか。そんなりかが大好きだ」
「うん!私も大好きだよ。」
そこで、音は止まった。
あらら、お姫様顔が真っ青だ。
私が何故このレコーダーを持っているか
最近調子に乗り、おいたが過ぎる事から雷音を取り締まるよう、私に命令が出ていた。
昼には、学校で仕事。夜にも、暴走族の取り締まり。私の組織は寝させてはくれない、ブラックだ。それもこれも、何故か私にばかり仕事を押し付けてくるクソボスのせい。
そんな時、雷音の動きがぱったりとやんだ。それはもう、不気味なくらいに。
私はそれを、怪しく思いこっそり雷音の倉庫に忍びこみ、ボイスレコーダーをしかけた。
そーしたら、ビンゴ。
全国No3の火蓮を潰して、その位置に自分たちがつこうとしていた。真っ向勝負では勝てないのが分かってるから、スパイを送って内部から潰していくつもりだったんだろう。