クローバー


奏多に押さえ付けられ、離せっ!離せっ!
と暴れている佐々木。


東雲はそんな佐々木に近づき、目を合わせる。


火蓮の頭をつとめる男の目と、欲に歪んでしまった女の目が重なる。


火蓮の奴らが静かに見守る。総長の答えを、自分たちがこの男を信じてきて良かったと思えるよに。


逃げることは許さない。


半端は許さない。


絶対に…。



「りか…。俺はお前の事を本当に愛してた。例えそれが、偽物だったとしても。本当の仲間だと思ってた。だからっ、たがらこそ俺はお前を許すわけにはいかない。俺の気持ちを裏切ったお前を、仲間の気持ちを裏切ったお前を、俺は絶対許さない。───────お前を俺たちの"仲間"とは認めない!!!!」


1呼吸おき、倉庫内の全員に届くよう強く、強く、怒鳴った。


誰もが、震えたつような殺気と声。


ゾクゾクと身体中に電気が走ったような感覚を覚える。


コレが、全国No3"火蓮"の頭の迫力。


密かに私は笑う。


倉庫内に響くのは…


女の震えるような、泣きわめく声だけ。


「りかを、連れてけ」


「はいっっ!」


東雲の声で、周りは我にかえる。佐々木は下っ端によってどこかへ連れて行かれた。














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