クローバー


シーンと静まる倉庫。


そこに、1つの声が響く。


先程の迫力のある声はどこえやら、弱々しい男の声。


その男はガバッと頭を勢いよく下げる。それはもう、床スレスレに。


「ごめん!!俺が間違ってた!!!仲間の気持ちも考えず…、俺最低だ。こんなの謝って済むことじゃないよな。本当にごめん。俺…、責任とってここ出てくよ。」


下を向いたまま、とぼとぼと出て行こうとする、真っ直ぐバカ。


いやいや、違うでしょ?


「ねぇ、金髪。あんた、仲間のたった1回や2回の失敗を許してあげられないほど器小さいわけじゃないよね?」


その言葉に播戸は、ハッと気づいたような顔をし、そしてニヤリと笑う。


「ったりめーだろ!!!俺の器はでけぇからな!!!流星この俺様が許してやるよ!」


「お前のどこにそんなでかい器があるんだよ。流星、お前はここの総長だろ?いてくれなきゃ困る。」


播戸に呆れた顔をしながら、東雲に優しく笑いかける塩月。


「そうそう。何責任とか取ろうとしてんの?バカ流星にそんなもの取れるわけないでしょ?バカはバカなりに笑っとけよ。」


慰めるどころか、ディスリ始める奏多。


下っ端たちからも、次々に引き止める声があがる。





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