クローバー


っっっ!!!


「1番近くにいて、1番守らなきゃいけない奴だっのに、気づくのが…オソスギタ」


カラカラ


カラカラ


文乃が笑う。



「流星。お前は私によく似てる。だから…これは忠告だ。仲間がいる事を当たり前だと思わない方がいい。そう思っていると…」



文乃の真っ黒な瞳が俺を捉えて離さない。


怖いっ


震えるな俺っ。


情けねぇだろっっ。


「私みたいに、気づいた時にはなにもかも手遅れになってしまうから。」


文乃はまた悲しそうに微笑んだ。


笑うなよっ。


文乃のまとう雰囲気が


苦しくてっ苦しくてっ、たまらない。


息がしずらい。


なんでだよっ!俺じゃないのにっ!


苦しいのは文乃のはずなのにっ。


文乃の顔が


瞳が


カラカラと、笑う笑顔が


頭から離れない。


どうしようもなく心が痛い痛いと泣いている。


俺は聞いてはいけない事を聞いてしまったんだ。


それはきっと、文乃にとって苦しくてたまらない記憶の箱。


こんな時、自分がバカで無鉄砲な事を嫌でも自覚する。


俺はっ


「文乃っ!ここいた!心配するだろ?勝手に居なくならないでくれる?」


その声にビクリと肩を揺らす。

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