クローバー
木陰は涼しいなー。ここは人があまり来ないし静かで居心地がいい。
心地よい風が眠りへと誘う。まぶたがだんだんと重くなっていく。
私はいつの間にか眠りへと落ちていた。
どのくらいの時間がたっただろう。膝の上に重さを感じた。
「んー、重いー。」
寝ずらさで、だんだんと目が覚めていく。
膝の上のものを触る。なんだろうこれふわで柔らかい。ずっと触っていたい。
「ふふ、文。くすぐったい。」
「え、瑠衣?!」
私の膝の上にいた物の正体は瑠衣の頭だった。それはそれは寝起きのふわっとした柔らかい笑顔を下から私に向けてくる瑠衣。とてつもなく可愛い。何この生き物。超可愛いんですけど!!
じゃない!
「いやいや、なんで私の膝で寝てるわけ」
「文が寝てるの見たら、俺も寝たくなった。」
寝たくなったって、普通勝手に人の膝でねるかね。
「こんなとこで寝てたら身体痛いでしょ?他のとこにしなよ。」
「そんな事ない。文の身体柔くて気持ちいい。それに、いい匂いする。」
顔に熱が集まっていくのが分かる。見られたくなくて思わず両手で顔を覆う。
「文が照れるの珍しいね。可愛い。」
「うん、もうやめて。ほんとに。」
この子はほんとにもう。
「それにね、俺怒ってる。こんなとこで無防備に寝て襲われたらどうするの?」
「大丈夫だよ。ここあんまり人来ないし、それに私を襲う人なんて.......うっ!」
瑠衣が手で私の口を覆う。
何すんの。そう思いを込めて瑠衣を睨む。
「文。あんま油断してると、俺が襲うよ?」
いつもののほほんとした瑠衣ではなく男の色気を漂わせた瑠衣。
ある意味兵器である。
「な、な、何いって!?」
「だって、あまりにも文が油断してるから。俺に襲われたくなかったら気をつけて。」
ムスッとした顔でこちらを見てくる瑠衣。良かったいつもの瑠衣だ。
また色気ムンムンの瑠衣になられては困るので、ここは大人しく頷いておいた。