背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
* * * *
学校を出てすぐに一花は智絵里に電話をするが、なかなか出る気配はない。それでもしつこくコール音を聞き続けていると、ようやく智絵里の声が聞こえてきた。
『かかってくる気がしてたよ』
久しぶりに聞いた智絵里の声にはため息が混じり、いつもよりも少し元気がない気がした。
『今日から登校?』
「うん、そうなの。それで、篠田くんから智絵里のことを聞かれて……」
『……そっか』
「ねぇ、智絵里。直接会って話せないかな?」
『……いいよ。私も気が滅入ってたし。というか今ちょうど外にいるから、一花の家の方に行くよ』
「私が行こうか?」
『大丈夫。着いたら連絡するね』
電話が切れる。智絵里は一体今どこにいるんだろう。そう考えながら、一花はバス停へと向かった。