背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
選択肢
バイトの時間が終わりに近づいた頃、一人の男性が店先に現れた。二十台半ばくらいだろか。暗めの茶髪に切長の目、背が高く上品な印象のスーツ姿のその人は、ショーケースのカップケーキをゆっくりと眺めている。
「いらっしゃいませ。お決まりですか?」
一花が尋ねると、その男性は顔を上げ微笑んだ。
「雲井一花さん?」
急に名前を呼ばれ、一花は驚きとともに警戒する。それを察したかのように、男性はスーツの内ポケットから名刺を取り出すと一花に手渡した。
一花は渡された名刺に目を向ける。
『ブルーエングループ エリアマネージャー 津山尋人』
その名前を見てはっとする。尚政からよく聞かされた名前だった。
「千葉尚政の従兄弟の津山です。君のことは尚政からよく聞いているよ」
「は、はじめまして! あの……後輩の雲井です」
一花は突然の出来事に戸惑いながら、とりあえず挨拶をする。
「尚政から話を聞いてるからかな、初めて会った気がしないね」
「そ、そうでしょうか……? あの……今日は何故ここに……?」
恐る恐る口にすると、尋人は時計を見ながら口を開く。
「君と少し話したいことがあってね。尚政のことで。この後時間はあるかな?」
先輩のこと? 一花は胸騒ぎがした。
「……わかりました」
「ありがとう。終わるまで待ってるよ」
そんな話をしている間に閉店の時刻となる。その場を離れた尋人をちらっと見てから片付けを始めた。
なんの話だろう。心臓の音が耳にまで響いてくるようだった。
「いらっしゃいませ。お決まりですか?」
一花が尋ねると、その男性は顔を上げ微笑んだ。
「雲井一花さん?」
急に名前を呼ばれ、一花は驚きとともに警戒する。それを察したかのように、男性はスーツの内ポケットから名刺を取り出すと一花に手渡した。
一花は渡された名刺に目を向ける。
『ブルーエングループ エリアマネージャー 津山尋人』
その名前を見てはっとする。尚政からよく聞かされた名前だった。
「千葉尚政の従兄弟の津山です。君のことは尚政からよく聞いているよ」
「は、はじめまして! あの……後輩の雲井です」
一花は突然の出来事に戸惑いながら、とりあえず挨拶をする。
「尚政から話を聞いてるからかな、初めて会った気がしないね」
「そ、そうでしょうか……? あの……今日は何故ここに……?」
恐る恐る口にすると、尋人は時計を見ながら口を開く。
「君と少し話したいことがあってね。尚政のことで。この後時間はあるかな?」
先輩のこと? 一花は胸騒ぎがした。
「……わかりました」
「ありがとう。終わるまで待ってるよ」
そんな話をしている間に閉店の時刻となる。その場を離れた尋人をちらっと見てから片付けを始めた。
なんの話だろう。心臓の音が耳にまで響いてくるようだった。