背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
最後のお願い
 一花は空港で尚政の到着を待ち続けていた。朝からソワソワしてしまい、伝えられていた時間よりもずっと早くに空港に入ってしまう。

 様々な店舗に足を踏み入れるものの、眺めているだけで何も頭に入らない。

 尚政を見送る際に最後の時間を過ごした展望デッキに出ると、飛行機には目もくれずに下だけを見ていた。

 会いたいのに怖いなんて……事実を知っているからこそ、顔を合わすのが怖い。先輩はどの選択肢を選ぶのだろうか。表情を見ただけで、先輩の気持ちがわかってしまいそうだった。
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