背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
バスを降りたのは、二人が初めてデートをしたあの公園のある駅だった。
「ここって初デートの公園だ。なんか懐かしいなぁ……。あそこのファストフード店で食べたよね」
「そうそう。でも正確には生チョコのお礼でバスケを教えて、ファストフード店で食べたところからがデートだから」
「そういえばそうだった……よく覚えてたね」
「うん……最近一花とのことをよく思い出すんだ」
思い出を振り返りながら、二人は公園沿いをただ歩き続ける。このまま真っ直ぐ行けば、二人が制服デートをした街へと繋がる。だが尚政の足が急に止まった。
尚政の顔を見ると、泣きそうな顔で一花を見つめていた。
「大事な話があるんだ……」
「うん……」
「今回ブルーエンに転職することになったのはさ、従兄弟の尋人から連絡が来たからなんだ」
うん、知ってる……一花は心の中で呟く。
「尋人が……アメリカに異動になるらしくて、それについてきてほしいって言われたんだ……」
「そうなんだ……」
「期間は決まってない….だからいつ帰れるかわからない……でも行こうと思ってる」
「北海道の次はアメリカだなんて……なんか試されてるみたいだね」
尚政は困ったように笑う一花の手を取ると、強く握りしめる。
「一花……もう終わりにしようか……」
覚悟していたけど、実際に先輩の声で言われると力が抜けた。
「どうして? 私は大丈夫だよ」
一花が言うと、尚政は首を横に振る。
「今までみたいに簡単に連絡も取れなくなるし、何かあってもすぐに帰れない。一花のそばにいるなんて無理なんだ」
「私はそばにいてなんて言ってない。先輩と繋がっていられるだけで幸せだよ」
「……ダメだよ。俺じゃ一花を幸せに出来ない。でも一花みたいな愛情に溢れた子は誰とでも幸せになれるし、幸せになるべきなんだよ」
「……それは先輩じゃないの?」
「俺にはそこまでの覚悟がないんだ……いつまでも一花を縛りつけるべきじゃない。だから……もう離れた方がいいんだ」
「嫌よ….だって私は……!」
「一花! お願いだからさ……」
こんなふうに大声を出した先輩を見たのは初めてだった。それくらい追い詰められているの? このままじゃ私の言葉なんかきっと聞いてくれない。一花は覚悟を決めて尚政を見つめる。
「ここって初デートの公園だ。なんか懐かしいなぁ……。あそこのファストフード店で食べたよね」
「そうそう。でも正確には生チョコのお礼でバスケを教えて、ファストフード店で食べたところからがデートだから」
「そういえばそうだった……よく覚えてたね」
「うん……最近一花とのことをよく思い出すんだ」
思い出を振り返りながら、二人は公園沿いをただ歩き続ける。このまま真っ直ぐ行けば、二人が制服デートをした街へと繋がる。だが尚政の足が急に止まった。
尚政の顔を見ると、泣きそうな顔で一花を見つめていた。
「大事な話があるんだ……」
「うん……」
「今回ブルーエンに転職することになったのはさ、従兄弟の尋人から連絡が来たからなんだ」
うん、知ってる……一花は心の中で呟く。
「尋人が……アメリカに異動になるらしくて、それについてきてほしいって言われたんだ……」
「そうなんだ……」
「期間は決まってない….だからいつ帰れるかわからない……でも行こうと思ってる」
「北海道の次はアメリカだなんて……なんか試されてるみたいだね」
尚政は困ったように笑う一花の手を取ると、強く握りしめる。
「一花……もう終わりにしようか……」
覚悟していたけど、実際に先輩の声で言われると力が抜けた。
「どうして? 私は大丈夫だよ」
一花が言うと、尚政は首を横に振る。
「今までみたいに簡単に連絡も取れなくなるし、何かあってもすぐに帰れない。一花のそばにいるなんて無理なんだ」
「私はそばにいてなんて言ってない。先輩と繋がっていられるだけで幸せだよ」
「……ダメだよ。俺じゃ一花を幸せに出来ない。でも一花みたいな愛情に溢れた子は誰とでも幸せになれるし、幸せになるべきなんだよ」
「……それは先輩じゃないの?」
「俺にはそこまでの覚悟がないんだ……いつまでも一花を縛りつけるべきじゃない。だから……もう離れた方がいいんだ」
「嫌よ….だって私は……!」
「一花! お願いだからさ……」
こんなふうに大声を出した先輩を見たのは初めてだった。それくらい追い詰められているの? このままじゃ私の言葉なんかきっと聞いてくれない。一花は覚悟を決めて尚政を見つめる。