背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
大事なもの
 尚政はベッドではなく床に転がっていた。部屋に徐々に朝日が差し込む。ここのところ眠りが浅く、夜の闇から朝になるまでを目を開けたままぼんやりと眺めていた。

 あの日から今日で三日経つが、尚政は気力を失くして一日中部屋に引きこもっていた。こんなはずじゃなかったのにな……。

 ふと一花のことを思い出しては、胸が締めつけられ涙が出た。
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