背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
あれから尚政からの連絡はなかった。やっぱりダメだったんだ……そう思い、一花は落胆した。でもそれが先輩の決めたことなら仕方ない。
バイトを終えてとぼとぼと帰り道を歩くと、あの夜のことが思い出される。肌が触れ合うことがあんなに気持ちがいいだなんて知らなかった。私と違って筋肉質な体に触れると、すごくドキドキした。
あの時は夢中になり過ぎてわからなかったけど、ゆっくり思い返して気付いたことがあった。
『一花には幸せになってほしい』
先輩は何度もそう言った。今まで自分の感情で私から離れようとした先輩が、私の幸せを考えてくれたなんて信じられなかった。
私たちなりに愛し合っていたはずなのに、一体何が足りなかったんだろう……。自信? 信頼? 言葉? 時間? その全てかもしれない。
今からでも埋められるはずなのに、もう二人の関係は終わってしまった。きっと一生引きずるだろうな……私には先輩との記憶が重過ぎる。
いつも尚政と別れた角が近くなってくると、そこに誰かが立っているのに気付く。それが誰か、目を凝らさなくてもわかり、一花は立ち止まった。
「どうして……」
言いかけて、一花は溢れ出る涙で言葉が続かなくなった。
バイトを終えてとぼとぼと帰り道を歩くと、あの夜のことが思い出される。肌が触れ合うことがあんなに気持ちがいいだなんて知らなかった。私と違って筋肉質な体に触れると、すごくドキドキした。
あの時は夢中になり過ぎてわからなかったけど、ゆっくり思い返して気付いたことがあった。
『一花には幸せになってほしい』
先輩は何度もそう言った。今まで自分の感情で私から離れようとした先輩が、私の幸せを考えてくれたなんて信じられなかった。
私たちなりに愛し合っていたはずなのに、一体何が足りなかったんだろう……。自信? 信頼? 言葉? 時間? その全てかもしれない。
今からでも埋められるはずなのに、もう二人の関係は終わってしまった。きっと一生引きずるだろうな……私には先輩との記憶が重過ぎる。
いつも尚政と別れた角が近くなってくると、そこに誰かが立っているのに気付く。それが誰か、目を凝らさなくてもわかり、一花は立ち止まった。
「どうして……」
言いかけて、一花は溢れ出る涙で言葉が続かなくなった。