背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
ファストフード店を出てから、尚政の手が一花の手を繋いだまま離そうとしない。先ほど告白紛いのことを口走ってしまったからだろうか。
からかわれてるのかな? これじゃあ本当のデートみたい……。
「あの……なんで手を繋いでくれるんですか?」
一花が困ったように聞くと、尚政は不敵な笑みを浮かべる。
「……一花ちゃんてさ、言葉選びが面白いよね。この場合は俺が繋いでるんだから、『なんで手を繋ぐんですか』とかじゃないの?」
「だって私が告白紛いのことをしちゃったから、気を遣ってくれてるのかなって思って……」
本当はさっきの言葉だって簡単に言えたわけではなかったが、尚政との関係を続けるための理由を探し求めてしまったのだ。
「まぁきっかけはそれだけど、残念ながら意図は違うなぁ」
「意図?」
「そう。気を遣ってるんじゃなくて、一花ちゃんの反応を楽しんでる」
「……やっぱりからかわれてるんですね」
「こんな俺、幻滅しちゃった?」
「……そうでもないです。先輩といると楽しいから。新しい発見が出来たみたいで嬉しいかな。それにこっちの先輩の方が、いつもより生き生きしてる気がしますよ」
楽しそうに話す一花の言葉を聞いて、尚政は言葉を失った。まだ出会ってから日が浅いのに、この子は俺の性格を見抜いて、しかも欲しかった言葉をいとも簡単に言ってのけた。
本当はいたずらしたり、からかったり、ガキくさい男なんだ。その性格を否定されてから、わざと隠すように生活してきた。でも本心は、こんな俺も認めて欲しいとずっと思っていた。
まさかそれを中学生の一花に言われ、尚政は衝動を受けた。この子って本当に不思議だ。中学生みたいな子どもらしい部分もあれば、中学生とは思えないくらい大人な部分もある。ただ、今の尚政にはどちらの一花も重要だった。
尚政はわざと一花の耳元に顔を近付ける。
「ねぇ一花ちゃん、今日の服かわいいよね。俺のために選んでくれたの?」
耳にかかる息がくすぐったかったのか、一花は変な声を上げて背筋をピンと伸ばした。
「……あっ、あの……やっぱり先輩にかわいいって思ってもらいたいから、動けるかわいい服にしてみました……」
「うん、すごくいいと思うよ」
先輩の言葉が私だけに向けられていると思うと、すごく幸せだった。
「どこか行きたいところある?」
「……先輩の行きたいところは?」
「俺? そうだなぁ……ゲーセンとか?」
「先輩ってゲーセンとか行くんですか?」
「行くよ〜。クレーンゲームとか大好きだもん。一花ちゃんは?」
「うちは両親が好きなので、よく一緒に行きますよ。私は苦手だけど」
「へぇ、なんか素敵なご両親じゃない。じゃあこれから行ってみる? 欲しいのあったらとってあげるよ」
「い、いいんですか?」
一花が目を輝かす。その様子に尚政も興味を惹かれた。
「……何か欲しいのあるの?」
「実は集めてるキャラクターがいて、もし新商品が出てたらいいなって思って」
「ふーん、出てるといいね」
尚政が言うと、一花は嬉しそうに頷いた。
からかわれてるのかな? これじゃあ本当のデートみたい……。
「あの……なんで手を繋いでくれるんですか?」
一花が困ったように聞くと、尚政は不敵な笑みを浮かべる。
「……一花ちゃんてさ、言葉選びが面白いよね。この場合は俺が繋いでるんだから、『なんで手を繋ぐんですか』とかじゃないの?」
「だって私が告白紛いのことをしちゃったから、気を遣ってくれてるのかなって思って……」
本当はさっきの言葉だって簡単に言えたわけではなかったが、尚政との関係を続けるための理由を探し求めてしまったのだ。
「まぁきっかけはそれだけど、残念ながら意図は違うなぁ」
「意図?」
「そう。気を遣ってるんじゃなくて、一花ちゃんの反応を楽しんでる」
「……やっぱりからかわれてるんですね」
「こんな俺、幻滅しちゃった?」
「……そうでもないです。先輩といると楽しいから。新しい発見が出来たみたいで嬉しいかな。それにこっちの先輩の方が、いつもより生き生きしてる気がしますよ」
楽しそうに話す一花の言葉を聞いて、尚政は言葉を失った。まだ出会ってから日が浅いのに、この子は俺の性格を見抜いて、しかも欲しかった言葉をいとも簡単に言ってのけた。
本当はいたずらしたり、からかったり、ガキくさい男なんだ。その性格を否定されてから、わざと隠すように生活してきた。でも本心は、こんな俺も認めて欲しいとずっと思っていた。
まさかそれを中学生の一花に言われ、尚政は衝動を受けた。この子って本当に不思議だ。中学生みたいな子どもらしい部分もあれば、中学生とは思えないくらい大人な部分もある。ただ、今の尚政にはどちらの一花も重要だった。
尚政はわざと一花の耳元に顔を近付ける。
「ねぇ一花ちゃん、今日の服かわいいよね。俺のために選んでくれたの?」
耳にかかる息がくすぐったかったのか、一花は変な声を上げて背筋をピンと伸ばした。
「……あっ、あの……やっぱり先輩にかわいいって思ってもらいたいから、動けるかわいい服にしてみました……」
「うん、すごくいいと思うよ」
先輩の言葉が私だけに向けられていると思うと、すごく幸せだった。
「どこか行きたいところある?」
「……先輩の行きたいところは?」
「俺? そうだなぁ……ゲーセンとか?」
「先輩ってゲーセンとか行くんですか?」
「行くよ〜。クレーンゲームとか大好きだもん。一花ちゃんは?」
「うちは両親が好きなので、よく一緒に行きますよ。私は苦手だけど」
「へぇ、なんか素敵なご両親じゃない。じゃあこれから行ってみる? 欲しいのあったらとってあげるよ」
「い、いいんですか?」
一花が目を輝かす。その様子に尚政も興味を惹かれた。
「……何か欲しいのあるの?」
「実は集めてるキャラクターがいて、もし新商品が出てたらいいなって思って」
「ふーん、出てるといいね」
尚政が言うと、一花は嬉しそうに頷いた。