背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
「あっ、そうだ。友達のお前は知らないかもしれないから一応教えておいてやろう」
「何、そのもったいぶった言い方」
「そんなこと言っていいのかなぁ。一花ちゃん情報なのに」
そう言われては仕方ない。尚政は黙る。
「じゃあ耳の穴かっぽじって聞くように! なんと来週二月七日は一花ちゃんの誕生日だ〜!」
楽しそうな柴田に反し、尚政は硬直した。
「……マジ? 知らなかった……なんで一花ちゃん言わないんだ……」
「まぁそういうところ控えめだからな。自分のことで人に迷惑かけたくないって感じがする」
確かにそうだ。一花ちゃんだって後向き発言が多いよな。
「とりあえず部活が終わるまでは図書館で待機してろ」
「はいはい」
誕生日か……。俺が何かすれば期待させることにならないだろうか。それなのに一花ちゃんを喜ばせたいとか矛盾してる。恋愛する気がないのに、俺って勝手だよな……。