背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
* * * *
「私、先輩に避けられてるよね」
気がつけばあっという間に一月。メールのやりとりはしていたけど、会うことは叶わなかった。
「そうだね、ちょっと会う時間も作れないほど忙しい大学生なんて聞いたことない」
「いやいや、いるかもしれないよ。一花から会いたいって言ってないの?」
「……怖くて言えない」
芽美と智絵里の二人と昼食を食べながら、一花はぼんやりと外を見ていた。
「あの一花が恋をしてるなんてねぇ」
「聞いてみたかったんだけど、先輩のどこが良かったの? ほら、先輩ってイケメンだし優しいけど、なんか掴みどころがないというかさ」
「あぁ、それは私も思ってた。なんか大人過ぎて会話とか合うのかな〜って」
そんなふうに思われていたとは知らなかった。
「……あの雰囲気かな……。なんかゆるっとしてて、包まれてるような優しさを感じるんだよね。でもちょっと強がってるところもあって、わたしが守ってあげたいって思う時もある」
二人は一花の話を聞きながら言葉を失う。
「なんか……中学生の発言じゃないよね」
「相手が年上だからそうなるのかな。ただきゃぴきゃぴ恋愛した〜いって感じとはちょっと違うんだね」
「……なんかね、中学生ってまだ子どもじゃない? 先輩に追いつきたいのに、追いつけないもどかしさがあって……でも恋をするなら先輩以外は嫌だって子どもな自分もいて……なんか頭の中がごちゃごちゃ……」
「まぁ中学生だからこそ頑張れる部分もあると思うよ。自分の中でもういいやって思うまでは好きでいていいんじゃない?」
「そんなこと言ったら、私死ぬまで先輩を好きかも……」
「どんだけ全力投球な片想いをしてるの」
一度でも会えれば安心出来るのにな……。