背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
 お風呂から上がり部屋に戻ると、メールが一通届いていることに気付く。ふと画面を見た一花は、一瞬呼吸するのを忘れた。

『未読 先輩』

 慌てて画面を開く。

『なかなか連絡出来なくてごめん。もうすぐ一花の誕生日だよね。もし良かったらデートでもしない?』

 一花はベッドに倒れ込み、ようやく息を吐いた。やっと……やっと先輩に会える。しかも誕生日を覚えていてくれた。

「嬉しくて死にそう……」

 一花は起き上がり、尚政へメールを打つ。

『是非。楽しみにしています!』

 送信ボタンを押してすぐに返事が返ってきた。

『行きたい所とかある?』

 先輩と行けるならどこだって嬉しい。でも何も考えていないと思われるのが嫌で、いくつか候補を提案する。

『じゃあその中から俺が考えてもいい?』
『もちろんです!』

 何を話そう。ちゃんと会話出来るかな。一年振りの先輩はどうなってるんだろう……。

 一花はベッドに置いてあった後向前太郎のクッションを抱きしめる。
 
 一花は緊張と興奮でなかなか寝付けなかった。
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