背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
動物園を後にした二人は、駅に向かって歩いていた。
「今日は楽しかったです。誘ってくれてありがとうございました」
一花がお礼を言ってすぐ、尚政は急に足を止めた。そしてポケットから小さな袋を取り出すと、一花の手に握らせる。
「誕生日プレゼント……なんだけど、まさか去年の指輪がまだ入るとは思わなくてさ……」
言い訳のように呟く尚政から視線を落とし、渡された袋を開けてみる。すると中から王冠の形の指輪が出てきた。
「指輪……?」
「去年のお店で選んできたんだ」
先輩が私のために選んでくれただなんて、嬉しすぎる。それならばと、一花は尚政に指輪を渡した。
「……まさか……またやるの?」
「ダメ?」
尚政は初めは嫌そうな顔をしていたのに、一花の嬉しそうな顔を見ると負けてしまう。
「俺って一花のお願いに弱いんだよねぇ」
そう言いながらも、迷いなく左手の薬指に指輪をはめる。
「ありがとう……大事にする……」
満面の笑みのまま指輪に口付けをした一花を見て、尚政は思わず頬に手を寄せた。湧き上がる欲望が抑えきれず、衝動のまま彼女に触れてしまった。
「ねぇ一花……。これから先、俺が一花に会いたいって言ったら、会いにきてくれる?」
「もちろん、すぐに会いにいく」
「でも俺、今は恋愛とかする気がないから、友だちとして会おうとするよ」
「それでいいよ。でも逆に私が会いたいって言ったら、会いにきてくれる?」
「……うん、会いにいく」
尚政の答えを聞いて、一花は自分の存在意義が変わったことに気付く。私のことを少しでも信じてくれたんだ。
恋愛の『好き』とは違うけど、彼の心の拠り所になりたい、そう思った。
「今日は楽しかったです。誘ってくれてありがとうございました」
一花がお礼を言ってすぐ、尚政は急に足を止めた。そしてポケットから小さな袋を取り出すと、一花の手に握らせる。
「誕生日プレゼント……なんだけど、まさか去年の指輪がまだ入るとは思わなくてさ……」
言い訳のように呟く尚政から視線を落とし、渡された袋を開けてみる。すると中から王冠の形の指輪が出てきた。
「指輪……?」
「去年のお店で選んできたんだ」
先輩が私のために選んでくれただなんて、嬉しすぎる。それならばと、一花は尚政に指輪を渡した。
「……まさか……またやるの?」
「ダメ?」
尚政は初めは嫌そうな顔をしていたのに、一花の嬉しそうな顔を見ると負けてしまう。
「俺って一花のお願いに弱いんだよねぇ」
そう言いながらも、迷いなく左手の薬指に指輪をはめる。
「ありがとう……大事にする……」
満面の笑みのまま指輪に口付けをした一花を見て、尚政は思わず頬に手を寄せた。湧き上がる欲望が抑えきれず、衝動のまま彼女に触れてしまった。
「ねぇ一花……。これから先、俺が一花に会いたいって言ったら、会いにきてくれる?」
「もちろん、すぐに会いにいく」
「でも俺、今は恋愛とかする気がないから、友だちとして会おうとするよ」
「それでいいよ。でも逆に私が会いたいって言ったら、会いにきてくれる?」
「……うん、会いにいく」
尚政の答えを聞いて、一花は自分の存在意義が変わったことに気付く。私のことを少しでも信じてくれたんだ。
恋愛の『好き』とは違うけど、彼の心の拠り所になりたい、そう思った。