背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
二人はしばらく砂浜を歩いた後、防波堤に座って海を眺めていた。一花は勇気を出して、自分から尚政の真横に移動すると、彼に寄りかかる。
「なんだか今日の一花ってば、積極的じゃない?」
「……だって先輩、私のこと、いつまで経っても子ども扱いでしょ? 高校生になったし、私だって少しくらい大人扱いされたいもの」
その言葉を聞いて、尚政はしばらく黙ったかと思うと、一花の体をグッと突き放す。そしてそのまま一花の膝の上に頭をのせる。
「せ、先輩⁈」
「大人の女性なんでしょ? だったら膝枕くらいしてよ」
初めは戸惑っていた一花だったが、徐々に笑顔になり、尚政の頭を撫でる。
「仕方ないなぁ。先輩も意外と甘えん坊なんですね」
からかったつもりなのに、一花の笑顔を見たら急に恥ずかしくなる。ただその想いに反して、一花に撫でられることが気持ち良くて目を閉じた。
「……一花さ、なんで急に髪を下ろし始めたの……?」
「髪?」
「三つ編みじゃなくなったじゃん」
「……前に先輩が下ろした方がかわいいって言ってくれたじゃない? だから……」
「それって……俺が言ったからってこと?」
一花は頷く。
「私が褒められたいのは先輩だけだし、気持ちが欲しいのも先輩だけだもの」
尚政は一花の髪にそっと触れる。そっか……俺のためだったんだ。それがわかっただけでこんなに嬉しい。
「一花ってば、どんだけ俺のことが好きなんだよ」
「……たぶん先輩が考えてる以上だよ……」
少し寂しそうな笑顔に、尚政の心はギュッと締め付けられる。その途端、意味もわからず一花の頭に手を回して彼女の顔を引き寄せると、衝動的に唇を重ねた。
一花は目を見開く。尚政の唇が離れても、動くことが出来なかった。尚政も自分の行動が理解出来ずに、ただひたすら焦る。
「あっ……ごめん! なんだろう……ってか何やってるんだ、俺……」
自分の唇に触れながら呆然としていた一花だったが、慌てる尚政の顔を両手で挟むと、今度は一花からキスをする。
まさか一花からキスをされると思っていなかった尚政は驚いた。
「い、一花?」
「……どうしよう……すごく嬉しい……」
真っ赤な顔を隠すかのように、一花は尚政の顔を抱きしめる。
「変態かもしれないんだけどね、ずっとずっと……先輩とキスしたいって思ってたの……。もちろん、今のが私のファーストキスだからね! でもファーストキスが先輩とで、すごく嬉しい……」
「……一花、あのさ、水を差すようで悪いんだけど……む、胸が顔に当たってるんだけど……」
「えっ、あっ、ごめんなさい!」
一花はバッと体を離すと、両手を上げたまま硬直していた。その姿が面白くて、尚政は吹き出した。
「胸を押し付けるは、ずっとキスしたかったって……なんか一花らしくて笑っちゃうんだけど!」
「だ、だって!」
「俺が勝手なこと言うから、一花を変態にしちゃったのかなぁ……。それは申し訳ないことをしたなぁ」
そう言いながらも、いまだに笑いがおさまらない。
「なんだか今日の一花ってば、積極的じゃない?」
「……だって先輩、私のこと、いつまで経っても子ども扱いでしょ? 高校生になったし、私だって少しくらい大人扱いされたいもの」
その言葉を聞いて、尚政はしばらく黙ったかと思うと、一花の体をグッと突き放す。そしてそのまま一花の膝の上に頭をのせる。
「せ、先輩⁈」
「大人の女性なんでしょ? だったら膝枕くらいしてよ」
初めは戸惑っていた一花だったが、徐々に笑顔になり、尚政の頭を撫でる。
「仕方ないなぁ。先輩も意外と甘えん坊なんですね」
からかったつもりなのに、一花の笑顔を見たら急に恥ずかしくなる。ただその想いに反して、一花に撫でられることが気持ち良くて目を閉じた。
「……一花さ、なんで急に髪を下ろし始めたの……?」
「髪?」
「三つ編みじゃなくなったじゃん」
「……前に先輩が下ろした方がかわいいって言ってくれたじゃない? だから……」
「それって……俺が言ったからってこと?」
一花は頷く。
「私が褒められたいのは先輩だけだし、気持ちが欲しいのも先輩だけだもの」
尚政は一花の髪にそっと触れる。そっか……俺のためだったんだ。それがわかっただけでこんなに嬉しい。
「一花ってば、どんだけ俺のことが好きなんだよ」
「……たぶん先輩が考えてる以上だよ……」
少し寂しそうな笑顔に、尚政の心はギュッと締め付けられる。その途端、意味もわからず一花の頭に手を回して彼女の顔を引き寄せると、衝動的に唇を重ねた。
一花は目を見開く。尚政の唇が離れても、動くことが出来なかった。尚政も自分の行動が理解出来ずに、ただひたすら焦る。
「あっ……ごめん! なんだろう……ってか何やってるんだ、俺……」
自分の唇に触れながら呆然としていた一花だったが、慌てる尚政の顔を両手で挟むと、今度は一花からキスをする。
まさか一花からキスをされると思っていなかった尚政は驚いた。
「い、一花?」
「……どうしよう……すごく嬉しい……」
真っ赤な顔を隠すかのように、一花は尚政の顔を抱きしめる。
「変態かもしれないんだけどね、ずっとずっと……先輩とキスしたいって思ってたの……。もちろん、今のが私のファーストキスだからね! でもファーストキスが先輩とで、すごく嬉しい……」
「……一花、あのさ、水を差すようで悪いんだけど……む、胸が顔に当たってるんだけど……」
「えっ、あっ、ごめんなさい!」
一花はバッと体を離すと、両手を上げたまま硬直していた。その姿が面白くて、尚政は吹き出した。
「胸を押し付けるは、ずっとキスしたかったって……なんか一花らしくて笑っちゃうんだけど!」
「だ、だって!」
「俺が勝手なこと言うから、一花を変態にしちゃったのかなぁ……。それは申し訳ないことをしたなぁ」
そう言いながらも、いまだに笑いがおさまらない。