捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
しかし彼の表情は思わしくない。
それはそうだろう、自分でもいまいちだなと思っていた。

「これ。
足してみろ」

「あ、……はい」

少し考えた彼から渡されたベルトをウェストに巻く。

「うん、よくなった」

満足げに彼が頷き、あらためて鏡を見た。
確かに、さっきまでよりもメリハリが出てずっといい。

「ああいうのは悪くないんだが、李依は身体のラインが綺麗だから、出るようにしたほうがいい。
このベルト一本でこんなに違う」

私の肩に手を置き、鏡越しに和家さんが見つめている。

「……綺麗なんかじゃありません」

体型はずっとコンプレックスだった。
胸ばかり大きくて、あとは貧相。
だからいつも、大きめの服で隠していた。

「綺麗だよ。
僕は嘘をつかない」

その手が私の顔にかかり、横を向かせる。
彼の顔が近づいてきて……。

「……キスはダメです」

「それは残念」

私の手に阻まれたのに、彼はふざけるように言って素直に離れた。
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