捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
何軒かの店をはしごし、彼はかなりの枚数の服と、それに合わせた靴やバッグを買ってくれた。
「……こんなに買っていただいても、持って帰れないんですが」
アイスコーヒーのストローを咥える私の傍らには、いくつも紙袋が置かれている。
「スーツケースに入らないのなら、送ればいい」
同じくアイスコーヒーのストローを咥え手和家さんはさらっと言ってくるが、日本国内の宅配便じゃないのだ、そんなに簡単にはいかない。
「心配しなくていい、僕が手配してやるから」
私の視線に気づいたのか、これで解決だと彼が頷く。
それになにを言ってももう無駄だって学習したので、私もなにも言わなかった。
これでもう終わりだろうと思ったのに和家さんはまだ買い足りないらしく、運転手に荷物を取りに来させてさらに私を引っ張り回す。
アクセサリーショップで、和家さんはまたいろいろ見ている。
「その指環」
「え?」
彼の視線が、私の左手薬指に嵌まるそれを指す。
「いや、いい」
しかし和家さんはそれだけ言い、またショーケースへと視線を戻した。
その隣に並びながら、じっと指環を見つめる。
これをもらったときは、とても幸せだった。
まだここに嵌まっているのは私の未練だ。
外すべきだとわかっている。
でも、今はまだできない。
「……こんなに買っていただいても、持って帰れないんですが」
アイスコーヒーのストローを咥える私の傍らには、いくつも紙袋が置かれている。
「スーツケースに入らないのなら、送ればいい」
同じくアイスコーヒーのストローを咥え手和家さんはさらっと言ってくるが、日本国内の宅配便じゃないのだ、そんなに簡単にはいかない。
「心配しなくていい、僕が手配してやるから」
私の視線に気づいたのか、これで解決だと彼が頷く。
それになにを言ってももう無駄だって学習したので、私もなにも言わなかった。
これでもう終わりだろうと思ったのに和家さんはまだ買い足りないらしく、運転手に荷物を取りに来させてさらに私を引っ張り回す。
アクセサリーショップで、和家さんはまたいろいろ見ている。
「その指環」
「え?」
彼の視線が、私の左手薬指に嵌まるそれを指す。
「いや、いい」
しかし和家さんはそれだけ言い、またショーケースへと視線を戻した。
その隣に並びながら、じっと指環を見つめる。
これをもらったときは、とても幸せだった。
まだここに嵌まっているのは私の未練だ。
外すべきだとわかっている。
でも、今はまだできない。