捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「李依は今日、二十七になったんだっけ?
僕は三十六だから九つ下なのか」
ワイン片手に和家さんは楽しそうに話し続ける。
「あー……。
そうですね」
『李依の誕生日に挙式なんて素敵だろ?』
なんて言っていたあの人の顔がよぎって、胸の奥がずきんと痛んだが、感情を隠して笑顔を作った。
「……そんな顔をするな」
悲しそうに和家さんがぽつりと落とし、そこから微妙な沈黙がテーブルを支配する。
ハワイにいる間――和家さんと一緒にいる間は、暗くなりたくない。
「でも、今日は和家さんが付き合ってくれて、たくさんいろいろ買ってくださったので、そんなに悪い誕生日じゃないと思います」
きっと彼がいなければ、安いホテルの狭いベッドの上で、膝を抱えて丸くなって過ごしていただろう。
それが、綺麗なドレスを着せてもらい、こうやって素敵なレストランでフレンチを食べている。
それだけでも……って、普通でもこんなに豪華な誕生日はそうそうない。
「そう言ってもらえるならよかった」
眼鏡の奥で目尻を下げ、和家さんが眩しそうに笑う。
そういう顔は心臓が甘く鼓動して、勘違いしそうになった。
デザートになって私の元へ運ばれてきたのは……花火が弾けるケーキだった。
「あの、これって……?」
「今日が誕生日なんだろ?」
僕は三十六だから九つ下なのか」
ワイン片手に和家さんは楽しそうに話し続ける。
「あー……。
そうですね」
『李依の誕生日に挙式なんて素敵だろ?』
なんて言っていたあの人の顔がよぎって、胸の奥がずきんと痛んだが、感情を隠して笑顔を作った。
「……そんな顔をするな」
悲しそうに和家さんがぽつりと落とし、そこから微妙な沈黙がテーブルを支配する。
ハワイにいる間――和家さんと一緒にいる間は、暗くなりたくない。
「でも、今日は和家さんが付き合ってくれて、たくさんいろいろ買ってくださったので、そんなに悪い誕生日じゃないと思います」
きっと彼がいなければ、安いホテルの狭いベッドの上で、膝を抱えて丸くなって過ごしていただろう。
それが、綺麗なドレスを着せてもらい、こうやって素敵なレストランでフレンチを食べている。
それだけでも……って、普通でもこんなに豪華な誕生日はそうそうない。
「そう言ってもらえるならよかった」
眼鏡の奥で目尻を下げ、和家さんが眩しそうに笑う。
そういう顔は心臓が甘く鼓動して、勘違いしそうになった。
デザートになって私の元へ運ばれてきたのは……花火が弾けるケーキだった。
「あの、これって……?」
「今日が誕生日なんだろ?」