捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
それで、わざわざ?
私のために?

「誕生日おめでとう、李依」

「……ありがとうございます」

思いがけないサプライズで胸が熱い。
涙がぽろりと落ちそうになったが、耐えた。
泣いて、崩れたくない。

「李依は本当に可愛いな」

和家さんの手が伸びてきて、私の目尻を撫でた。

「こんな李依と別れて別の女と結婚するだなんて、旦那になるはずだった男は見る目がないな。
おかげで僕にチャンスが回ってきたから、感謝しないといけないが」

「なんですか、それ」

冗談めかして彼が私にウィンクし、落ちかけた気持ちは浮上していた。

食事が終わり、和家さんが部屋まで送ってくれた。

「本当にこのまま、ここに泊まっていいんですか?」

こんな豪華な部屋にひとりで泊まるだなんて、気が引ける。

「いいんだ。
タダだから気にしなくていい」

「タダ……?」

思いがけぬ言葉が出てきて、聞き返していた。

「あー、ちょっとな」
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