捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
なんて誤魔化してきたが、本当に怪しい。

「じゃあ、また明日」

お茶くらいと言ったが、さっさと和家さんは帰ろうとする。

「あの。
本当に帰るんですか?」

今日こそ抱かれるのだと思っていた。
そうじゃなきゃ、いくら同情しているからといって、あそこまでいろいろするわけがない。

「なんだ、泊まっていいのか?」

私を見下ろす和家さんは、真顔でなにを考えているのかわからない。

「泊まるってことは李依を抱くってことだが、いいのか?」

「え、いや、……よくない、です」

いくら覚悟のようなものが決まっていても、聞かれれば拒否してしまう。

「それは残念」

和家さんが小さくくすりと笑う。
……からかわれた。
そう気づいて頬が熱くなった。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

笑顔の彼を最後にドアが閉まる。
リビングまで戻ってソファーにバタンと寝転んだ。

「……わけわかんない人」
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