捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「おはよう」

「……おはようございます」

目が覚めたら、和家さんが肘枕で私の顔を見ていた。

「なに、してるんですか?」

「ん?
李依の寝顔は可愛いなーと思って」

ちゅっと私の額に口付けし、彼が起き上がる。

「顔を洗ったら朝食を食べに行こう」

「そうですね」

私も起き上がり、一緒にベッドから出た。

身支度を済ませ、じっと指環を見つめる。
昨晩、和家さんが全部忘れさせてくれた。
もうこれは必要ない。

「バイバイ」

ゴミ箱にそれをぽとんと落とした。
もう、過去は振り返らない。
日本に帰ったら私は前を向いて生きていく。
……でも。

「着替え、済んだのか?」

「あ、はい」

返事をして寝室を出る。
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