捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
カフェを出て、人目につかない場所を探す。
人気のない通路を見つけ、足を止めた。
「和家、さん」
「ん」
彼と向かい合って立つ。
背伸びをして手を伸ばしたら、彼は届きやすいように背を屈めてくれた。
首に手を回して抱きつき、その形のいい唇に自分の唇を重ねる。
これで最後。
もう二度と、彼には会えない。
そう思うと、なかなか離れられなかった。
顔を遠ざけながら、視線を絡めてじっと見つめ合う。
「……ありがとう、ございました」
「僕のほうこそありがとうだ」
ぎゅっと彼に抱き締められ、最後にその匂いを思いっきり吸い込んだ。
手持ちのエコノミーのチケットで帰るつもりだったが、和家さんがわざわざ同じ便のファーストクラスのチケットを取っていてくれていた。
「そのチケットだと、アイツの隣になるから嫌だろ」
「なにからなにまですみません」
ありがたく、その厚意を受ける。
「じゃあ、元気で」
「和家さんも」
ロビーで和家さんと別れた。
別れた彼との思い出は、和家さんが全部上書きしてくれた。
この素敵な思い出を胸に前を向いていけそうだ。
また会いたいけれど、もう会えないんだろうな……なんて思いながら、私はハワイをあとにした。
人気のない通路を見つけ、足を止めた。
「和家、さん」
「ん」
彼と向かい合って立つ。
背伸びをして手を伸ばしたら、彼は届きやすいように背を屈めてくれた。
首に手を回して抱きつき、その形のいい唇に自分の唇を重ねる。
これで最後。
もう二度と、彼には会えない。
そう思うと、なかなか離れられなかった。
顔を遠ざけながら、視線を絡めてじっと見つめ合う。
「……ありがとう、ございました」
「僕のほうこそありがとうだ」
ぎゅっと彼に抱き締められ、最後にその匂いを思いっきり吸い込んだ。
手持ちのエコノミーのチケットで帰るつもりだったが、和家さんがわざわざ同じ便のファーストクラスのチケットを取っていてくれていた。
「そのチケットだと、アイツの隣になるから嫌だろ」
「なにからなにまですみません」
ありがたく、その厚意を受ける。
「じゃあ、元気で」
「和家さんも」
ロビーで和家さんと別れた。
別れた彼との思い出は、和家さんが全部上書きしてくれた。
この素敵な思い出を胸に前を向いていけそうだ。
また会いたいけれど、もう会えないんだろうな……なんて思いながら、私はハワイをあとにした。